会計・経理研究

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所得税の予定納税についての解説。納税方法次第では大きなメリットがあります

所得税の予定納税は確定申告前に、想定される税金を数回に分けて支払う事です。

 

前年度の所得を元にして今年納めるであろう税額を予想するのですが(税務当局が)、それが15万円以上であれば、前もって納付しなければなりません。

 

注意が必要なのは、この予定納税制度は条件を満たす場合(上述の税額15万円)、必須になってしまう点です。

 

所轄税務署長から6月15日までに納付について書かれた書面が届きますので、それを元にして納付しましょう。

 

この納税が行われなかった場合、延滞税が発生します。

少額ではございますが、出来るだけ余分な出費は控えたいところです。

 

 

 

予定納税基準額の計算方法

予定納税基準額――つまり、その年度で支払うと想定される通年の税額の計算方法を紹介いたします。

 

5月15日に前年度分の経常的な所得に係る所得税から、これらの所得についての前年分の源泉徴収税額(報酬等のうち、受け取る前に引かれた税額=支払元が納税してくれた分)を控除した金額になります。

 

この文章だけだと、読みづらいと思われますので、以下に具体的に示しておきます。

 

 経常的な所得:利子所得、不動産所得、配当所得、事業所得、給与所得

 

 臨時的な所得:譲渡所得、一時所得、雑所得、臨時所得

 

【注】臨時的な所得は予定納税基準額の計算には関係ありません。参考程度にしてください。

 

一年分の予定納税基準額=(①-②)×税率ー①に対する源泉徴収

 

①前年度の経常所得の合計額

②前年度の所得控除(医療費控除や、基礎控除等)の合計額

 

手元に予定納税分の資金を残しておく意味でも、予めザックリと計算しておくのをお勧めいたします。

 

納税方法

予定納税基準額の三分の1の金額を、第一期(7月1日~7月31日)と第二期(11月1日~11月30日)の二階に分けて納付します。

 

ex ) 予定納税基準額(税務署長から通知された金額)が300万円であれば、第一期に100万円、第二期に100万円を納付しなければなりません。

第一期と第二期に支払った200万円につきましては、その支払年度の確定申告の際に、申告書Bの第一表に記入しておきましょう。

確定申告で計算された所得税額から、予定納税額分が差し引かれます。

確定申告時の年間所得税額を500万円としますと、

500万円ー200万円=300万円

この300万円が追加でしはらわなければならない金額となります。

 

なお、前年度よりも業績が悪い場合は、7月15日までに予定納税の減額申請を提出することで、予定納税額を減額出来ます。

 

納税方法の選択

所得税を納める方法としましては、振替納税、電子納税、クレジットカード納税、現金納税。この4種を選択出来ます。

この中では比較的新しいクレジットカード納税について説明します。

 

平成29年6月12日からe-taxにおいて、クレジットカードによる税金の支払いが可能になりました。

利用可能なクレジットカードは以下の6種類となります。

  • Visa
  • mastercard
  • JCB
  • American Express
  • Diner Club
  • TS CUBIC CARD

 

クレジットカードによる支払をした場合、ポイントが貯まることもありますので、ご自身の保有するクレジットカード会社に、問い合わせをお勧めします。

 

まとめ(予定納税と複式簿記の相性の悪さ)

予定納税と複式簿記青色申告をしている場合は複式簿記で帳簿をつける必要があります)というのは、個人的に相性が悪いと思っています。

というのも、似たような勘定科目を使用して本年度分の予定納税分と、前年度の納税分が記帳されることで、混乱が起こる可能性があるからです。

ですので、個人的には会計システムと確定申告システムが紐づいているようなサービスの利用がお勧めです。

特に、専門家に対する相談窓口を設けているサービスですと、煩雑な確定申告がスムーズになるはずです。