会計・経理研究

一部上場メーカー経理8年間の管理人が会計&税務の最新情報をお届けします

公認会計士が事業会社経理に転職する際に注意すべきポイントは?

現在、公認会計士試験に合格した方の10人に1人程度が監査法人以外に就職しているようです。

私も経理職への転職活動を行った際、面接を担当してくれた方の多くが公認会計士さんでしたし、多くの事業会社で公認会計士さんを受け入れている状況のように感じられました。

今回は公認会計士が事業会社に転職する際に注意すべきポイントについてまとめます。

f:id:nuconumber:20201119233455p:plain

会社選択はしっかりと考えた方が良いです。

収入が高くなる業種

年収や昇給の観点から言わせていただきますと、メーカーのバックオフィス部門とメーカー以外(サービス、IT,金融など)のバックオフィス部門では後者の方が圧倒的に年収が高い傾向にあります。

私はメーカーの経理をやっておりましたが、転職活動で別業種の会社を受けた際に、入社した場合の年収を聞いたときがあるのですが、転職後200万円もUPすると言われました。

殆ど同じような仕事をする場合でも、業種によって大きく年収が異なっているのです。

後々後悔しない為にも、業種選びはしっかり考えた方がいいと思います。

幅広い業務に従事したい場合は?

会計士試験の試験科目に管理会計原価計算などが含まれていることから、メーカーで働き、学んだ事を活かしたいと考える方もいるでしょう。

確かに、原材料の調達から組み立て(仕掛品管理)、販売の流れを数字で追いかけるのは非常に楽しいですので、遣り甲斐のある業務です。

もしメーカーで働きたいのであれば、情報サービスや金融サービスなどの事業もおこなっている企業を選ぶのがお勧めです。

メーカー一本の企業よりも年収が高くなる傾向があります。

年収については面接時にきちんと聞いておくべきです

よく求人に400万円~700万円のような非常にギャップの大きな年収が書かれている場合があります。こうした場合は、上限や下限の金額に着目するのではなく、面接時に自分がもらえるであろう金額を質問するのが大事です。

日本人の性格的にこのような質問をしづらいかもしれませんが、年収UPは転職の大きなモチベーションに繋がるので、どんどん聞いていいと思います。逆に、そのような質問をしたからと採用を見送るような企業は、転職せずに済んでよかったと考えた方が良いと思います。

 

f:id:nuconumber:20201119233422p:plain

公認会計士・税理士・経理の転職求人情報なら【ジャスネットキャリア】

 

公認会計士が採用されやすい企業は?

つぎは公認会計士の需要のある業種についてまとめていきます。

難関の国家資格があればどこでも採用されそうですが、日本国内には古い体質の企業も多く、そこまでスムーズではないです。

上場会社の中でも規模の大きい企業

上場会社は財務諸表の公開をする必要があるため、会計基準の改正についていけること、金融商品取引法に詳しいこと、そして監査法人側の手の内を知っていることに価値を理解しています。

ですので、上述した内容をうまくアピールしたならば、採用に繋がりやすいものと思われます。

しかし、ここで気を付けていただきたいのは上場会社でも、中小並みの規模、そしてかなり古い体質の企業です。

こうした企業はバックオフィス部門の価値を低く考えがちです。

また、年功序列的な構造なため、資格という要素で組織内のバランスを崩す要素を入れたがりません。

 

スタートアップ企業や株式公開準備中の企業

創業してから数年しか経っていない企業や、株式公開準備中(IPO)の企業は、社内の会計システムを構築する必要から、公認会計士等の幅広い知識を持っている方を求めます。

多くの業務に関わることへのモチベーションや、コミュニケーション能力を示すと採用されやすいと思われます。

 

転職エージェントを利用するなら、会計分野に特化しているところがお勧めです。

会計分野に絞った求人を取り扱っているエージェントには、自然と良い案件が集まります。また、担当者との面接の際も、業務に関して理解してもらいやすく、自分に合った会社を紹介してもらいやすくなります。

逆に、狙っている会社に対して適切にアピールをしてもらえますので、お勧めです。

 

 

 

転職後に就くポジションにも注意しましょう

大学卒業後に事業会社に就職した場合、当然経理として働いた経験はゼロです。

事業会社で円滑に働けるようになるにはそれなりの時間を必要としますが、公認会計士を採用した側がその辺の事情を汲んでくれるかどうかは不明です。

他の会計士が先に就職していたり、直属の上司が会計士だったりした場合、下積み期間のプレッシャーが半減されると思われます。

 

転職後、監督者の立場に置かれるのならば、部下に経理事情に詳しい人がいるかどうかがポイントになります。

事業会社経理部の監督者の業務と監査法人での監査はやることが似ているように思われるかもしれませんが、かなり違っています。

重要性の基準などの適用から、やや大雑把な見方になる監査とは異なり、経理ではかなり細かく合わせる必要があります。長く経理で働いて来た方の協力が不可欠となるでしょう。

 

 

 

 

経理職への転職活動の際、面接で聞かれる内容【実体験から】

転職活動を行っている中で最も重要で、そして憂鬱なものの一つに面接があります。

特に経理職の場合、やや特殊な質問をされる事があるため、事前に回答を用意しておくと慌てなくて済むかもしれません。

以下で私が経理職への転職活動をした経験から、面接で聞かれた内容を紹介しようと思います。

挙げたものの幾つかは、必ず質問されると思われますので、参考にしてみてください。

 1対1の面接のイラスト(男性)

経理部門ではどのような人間を求めている??

そもそも経理部門ではどのような人材を求めているのでしょうか。

以下では会社規模や求人内容から例を挙げてみたいと思います。

  • 大企業において特定業務に絞った求人をしており、そして求めている人間が管理者ではない場合:面接時は直属の上司も同席することが多いと思われます。そのため、業務については程々に詳しく、扱いやすく交流しやすい性格の方を採用する傾向があるでしょう。

 

  • 中小規模の会社において特定業務に絞った求人をしており、採用された後は一人で業務を任される場合:指定された業務について相当詳しい方を求めています。そして、全く関係ない業務の手伝いも積極的に行ってくれる方が採用されやすいでしょう。

 

  • 求人内容に英検(TOEIC含む)などが書かれており、比較的高得点をボーダーとしている:海外子会社の現地スタッフや海外の監査法人等とのやり取りが出来る人間を求めている可能性が高いです。

 

  • 株式公開の準備中で、その業務の担当者を求めている場合:割と多いのがこの株式公開の準備スタッフの求人です。会計のみならず会社法や金商法の知識を求められるでしょうし、会計士や証券会社等の外部の人間との交渉出来る人間を必要としているでしょう。おそらく、普通に一般企業の経理スタッフをしていただけではかなり採用されづらいです。

 

その他にも色々あると思われますが、全てに共通しているのは、業務について即戦力レベルである事と、周囲とのコミュニケーション能力です。

面接では、その辺をアピールしていきましょう!

経理・会計分野の転職に強い【ジャスネットキャリア】 

 

転職を考えている女性会社員のイラスト

質問内容はどのようなものが多いか?

質問される内容は割と決まり切っています。部門共通な内容と経理特有な内容がありますので、おさえてみてください。

    • 自己紹介:ご自分のプロフィールを紹介しましょう。

 

    • 志望動機:どの部門への転職活動でも聞かれますが、経理職でもやはり質問されます。バックオフィス系の職種ですと考えるのが難しいですが、その会社の長所などを調べ、考えてみるといいです(内容が甘いと面接官から揚げ足取りなどもされますので、疑問の余地のない内容ですと後々困りません)。

 

    • 今まで経験した業務:経験した業務については、嘘偽りなく伝えましょう。具体的であれはあるほど良いと思われますが、全ての業務の内容について伝える必要はありません(職務経歴書に全てかいてあるはずなので)。自分がアピールしたい業務(=会社側が就かせたいと思っている業務内容や、将来的に任せてもらいたい業務)について話しましょう。

 

    • 長所と短所:長所については仕事に有利になるようなものを伝えると良いです。短所についても当たり障りのない内容を考えておくのがお勧めです。短所を言わない事で、面接官たちがあなたを”都合の悪い事を言えない人間”だと判断するかもしれませんので……。短所をカバーするためにやっている事などを付け加えるとベストかもしれません。

 

    • 今の会社を辞めたい理由(退職済みの場合は、辞めた理由):ここで会社内の人間の悪口などを言うのはタブーです(採用後、会社の雰囲気を悪くされるのを避けたいと思うはずなので)。あくまでも自分の成長の為や、給料について、ライフスタイルや将来設計等、その会社に転職したら確実に改善する事を話すといいです。

 

    • 現在働いている会社の情報:部門の人数や、業務の割り振り、子会社の数、管理者の数等、かなり細かく会社の情報を質問されます。少し意外に思われるかもしれませんが、おそらく、自分の会社についてまともに把握出来ていない人間は仕事が出来ないと判断されるのではないでしょうか。

 

    • 当社の財務諸表の中で気になること:このような質問をする企業もあります。面接先の会社のIR情報(開示されているなら)を読み込んでいるか否かで、本気度が分かりますし、会計のセンスなどもみれるでしょう。どんな些細な事でも伝えておくのが重要です。

 

    • その会社で何を成し遂げたいか? キャリアデザインは?:求人内容に幹部候補としての採用などと書かれていたら、昇進意欲を示しましょう。中期的、長期的にどのようなポジションについていたいかを離すと納得してもらいやすいと思われます。

 

    • こちらに質問があるか?:その会社に興味を持っていることを示すため、2、3個質問すると良いです。

経理・会計分野の転職に強い【ジャスネットキャリア】

 

拡声器で話す男性会社員のイラスト(笑顔)

転職活動に利用するのは、管理部門や会計分野に絞ったサイトを使うのがお勧めです

ちょっと話題が変わりますが、転職活動でエージェントのサイトを使う際は管理部門(経理等)や会計分野に絞ったサイトを使た方がいいです。

総合的なエージェントですと、登録されてある求人は玉石混交になりがちですが、管理部門や会計分野に絞っている場合良い求人を見つけやすいですし、担当の方から進められる会社も良い条件のところが多いです。

実際自分もジャスネットキャリアを利用しましたが、一部上場企業の中でも給料が高いところを複数紹介していただきました。

以下では、お勧めサイトをつ紹介いたします。

 

◆ジャスネットキャリア

 

◆MS-Japan

 

 この2サイトの求人をご覧になれば、ご自分に合った会社が見つかると思います。

最後に

面接の為に、話す内容を事前に決めておくと、面接官とのやりとりがおかしくなる場合があります。例えば、Aについて聞かれたのに、ABCまで答えるなどやりすぎになったりするのはNGだと思われます。あくまでも普通な会話の延長で求められている内容を過不足なく伝えるのが理想です。

また、企業文化に合っているのかどうかという面も見られます。古い歴史を持つ会社から、比較的新しく、自由な雰囲気の会社に転職する場合、受け答えが堅苦しすぎて会社に合わないと判断される事もあります(私が実際にそういう状況になりました……)。

ご自分の人間像が、その会社の雰囲気からかけ離れていると感じるのであれば、変わっていく姿勢を示すといいかもしれません。

会社に早くなじめる人間を欲しいはずですので。

 

 

 

経理・税務に必要とされるスキル(能力)を一部上場企業経理マンが紹介します! 転職などの為にキャリアアップしたい人必見

私が経理部に配属されて八年間が経過しました。

運の良いことに、連結会計、企業結合、法人税計算、退職給付会計・原価計算など、重要な業務に関わらせていただきまして、部内でもそれなりに発言力を持てるようになりました。

今回は私が経理部で働いている中で必要と思ったスキルを幾つか紹介しようと思います。

キャリアアップを考えている方は是非読んていって下さい。

 

経理業務おけるキャリアとは?

まず初めに、経理に携わる者にとってのキャリアについて説明します。

キャリアとは業務経験を差します。つまり、〇〇の業務を経験したことで、今後同様の業務を問題なく行えることです。

経理ではこのように、経験の価値がもの凄く高いんです。

 

経理部などは製造や営業からバックオフィスだからと舐められやすい部門ですが、実際やっている内容はかなり専門的です。一部の業務に至っては、対応不可能な人間もいるでしょう。

 

その一部の業務とは、連結会計M&A・税金計算・原価計算有価証券報告書&短信作成・SAPにおける設定・会計基準税制改正への対応

この辺りではないかと考えております。

これらの業務で培われたスキルが転職する際や、監督者になった際に非常に有効になるんです。

 

メガネが光る人のイラスト(男性)

キャリアを上げる為にはどうするのか?

経理業務の中には、上述したような重要な業務がある一方、さほど重要ではない業務もあります。

例えば、入社(または移動)してすぐの社員が任されるのは日常業務で発生する取引に関する仕訳や、そのチェック、または売掛金管理、固定資産管理のような定型的な業務です。

だいたいこのような業務は、よほど酷い会社でなければちゃんとしたマニュアルがあり、誰がやってもすぐに一定レベルの質になります。

言い換えれば、”その人物じゃなくてもいい”業務なんです。

 

こうした業務ばかりをしているのでは、転職する時に結構苦労するでしょう。

経理部に配属した時に、上述したような業務を行うための知識がないのであれば、簿記などの勉強をし、上司との面接でしつこくモチベーションを示す必要があります。

 エレベーターピッチのイラスト(男性)

業務ローテーションが機能しない場合

経理部で扱う業務は、専門的なだけでなく、会社独自のアレンジが加わっていることが殆どです。一癖も二癖もあるような業務については役職者ですらも把握出来なくなっている場合があり、担当者を外すことに消極的になります(担当者自身、自分のポジションを守る為にわざと分かり辛くする事もある感じですね)。

 

運が悪ければ、いつまで経っても重要な業務を経験することが出来ず、スキルが上がりません。

 

そうした場合、外に目を向けてもいいかもしれません。

自分がやりたい業務の担当者を探す企業に採用されたら、すぐに、目当ての仕事が出来ますし、キャリアを築けます。

経理・会計分野の転職に強い【ジャスネットキャリア】

 

転職に成功する為には、経理で経験した業務のうち、その企業で活かせそうな内容、そして簿記資格などをアピールしましょう(2級は必要だと思われます)。

 

経理で必要とされるスキルとは??

非常に浅い事を言ってしまうと、資格を保有しておくのが強いです。

簿記、TOEIC、税理士試験やその科目合格などが転職や内部評価で有利に働くでしょう。

実際、資格を持っている人は能力が高いですよね。

でも実際後輩などとに働いてみると、資格の有無よりも本人の能力に左右されるところも大きいと感じます。

以下では、上にあげた資格意外で必要と思ったスキルを挙げてみます。

 

文章読解力

経理・財務系の業務では会計基準やその解説書(またはネット情報)、会計士からの長文メールなどを読まなければならない事が非常に多いです。

なので、専門的な文章が読めないのは非常に不利になります。

数字に対する耐性

経理の業務はエクセルにまとめられた資料、会計ソフトに貯まったデータ等をひたすらチェック&加工する作業が多いです。

来る日も来る日も合わない数字について考え続ける事もあり、私は何度か数字酔いのような状態に陥りました。

PC系スキル・理解力

これはほぼ必須と言って良いと思います。

バックオフィス業務に金をかけないような会社ですと、Excelなどで殆どの業務を管理していたりしておりまして、Excel知識の有無により、効率が大幅に変わります。

また、SAP(=ERP)等の高価な会計ソフトを利用している会社では、勘定科目設定や各業務用の機能の追加のために高い専門性を必要とします。

IT畑の方でも経理部に移動してくる事もありますし、PC系のスキルはどのような会社の経理にも需要があると思われます。

 

 分析力

経理全般の業務で共通しているのは、数字の中から異常値をみつける事だと思っています。

異常値を見つけられない場合、不正確な数字を世の中に発表する事に繋がり、会社全体のリスクになります。

そのため、異常値を発見する分析力が必要になると思っています。

おかしなデータが、他の人間に起因する場合はその人に対して、数字を正す為に説得をしなければなりません。納得させるために充分な分析をしてまとめる等のマメさも必要だと思われます。

 

段取り能力

他の職種でもそうかもしれませんが、経理業務を遂行するためには、スケジュール管理が非常に大事です。例えば、連結業務では親会社の計算書だけでなく、全ての子会社の計算書を回収しなければなりません。ですので、事前に締め切りを決め、それまでに計算書を作成してもらい、修正箇所を見つけ、伝えて……と、非常に多くの作業が必要になります。無計画には絶対に出来ない業務ですね。

連結会計だけでなく、全ての業務において、このような計画作成が重要です。

 

会議でプレゼンをする人のイラスト(女性)

最後に

長々と書きましたが、経理職としてキャリアアップからの給与アップを目指すのであれば、重要な業務を経験するのが一番の早道です。

会社にとって代えのきかない者になるため、積極的に自らのスキルをアピールしましょう。

上にあげたスキルが既に備わっている、または重要な業務を経験しているのに、評価されないのでしたら企業側の体質に問題があると思われます。

転職も考慮していいかもしれませんね。

 世の中にはどのような待遇の会社があるのか知れるという意味でも、外の会社を見てみると楽しいですよ。

【確定申告】固定資産の減価償却費を早期に終わらす方法

確定申告の中で厄介な処理の一つは減価償却費の算出なのではないでしょうか?

小型自動車で耐用年数(経費として計上し続ける年数)が4年、金属製のキャビネットで15年など、管理し続けなければならない年数がバラバラだったりして、混乱してしまいますよね。

今回はこの減価償却の対象となる資産を、出来るだけ短期に経費処理を終わらせる方法についてまとめたいと思います。

 

 

減価償却とは何か?

減価償却とは、固定資産の費用化(経費化)に関する会計処理方法のことです。

この計算方法は確定申告に特有のものではなく、法人税の計算や、企業のHPで公開される財務諸表にも使われています。

 

所得税計算に絞って説明をしますと、

経費に出来るのは、収益の獲得に役だった支出や、価値の減少(固定資産等は使うと傷むので、価値が減ったと考える)になります。

この対応関係を計算期間一年分だけに区切って計算するのが確定申告になるので、

資産を購入したとしても、購入した年度に全てを経費に出来ない場合があるのです。

 

計算方法はザックリと2つのパターンに分かれます。

 

◇定額法

旧版:平成19年3月31日までに買った資産

  取得価額×残存価額0.9×定額法の償却率

(残存価額は、中古で売った場合に得られる価額という概念上の割合を意味しています)

 

新版:平成19年4月1日以降に購入した資産

  取得価額×定額法の償却率

 

◇定率法

  未償却の残高(過去に償却した金額を購入金額から差し引いた残り)×定率法償却率

(※平成24年4月1日以降に狩った分から、償却率が変更されているので、調べる場合は日付などに注意してください)

 

耐用年数(=償却年数)とその償却率は以下のURLから、『減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表』をご覧いただき、調べてみてください。

http://www.web-seibunsha.jp/tebiki/pdf/9/pdf_mask/huroku.pdf

 

それぞれの方法が新旧分かれているのは、改正があったからです。

しかし、本年度に購入した資産については、新版の方のみを適用すればいいでしょう。

早期に経費にする方法

固定資産の購入費用を確定申告における経費にするためには、場合によっては長期間かかります。

税金の支払い額を抑える為に、なるべく多くの経費を早期に計上したいと考える人にとっては、厄介な制度ですよね。

しかしながら、固定資産の購入費用を早めに経費に出来たり、そもそも固定資産の購入をしないなど、実は対応方法が多いです。

以下ではその一例をご紹介いたします。

◇10万円未満の購入品については、そもそも固定資産の減価償却をしなくても良い

10万円未満のモノ(運賃や取り付けにかかる費用も込み)については、その全額を購入した年度の経費として計上することが出来ます。

つまり、減価償却の計算をしなくても良く、確定申告の計算上で購入金額の全額を経費扱いで問題ありません。

 

◇一括償却資産扱いに出来る金額かどうかも考慮する

購入金額が10万円以上~20万円未満の資産は、3年間で均等額を経費にします。購入金額(取得価額)の三分の一ずつを計上すれば良いため、計算がシンプルですし、計上する年数も3年で良いです。

 

◇少額減価償却資産の特例対象かどうかを考慮する

青色申告をしている方であれば、購入金額30万円未満の資産の全額を、購入年度の経費とすることが可能です(ただし、年間の総額300万円まで)。

 

 

クラウドワークスの源泉徴収とは? 分かりやすく解説

クラウドワークスを利用していると、案件に応募する際に”クライアントに源泉徴収をしてもらう”というチェック欄が出てくることがあります。

 

このような時、自分がチェックを入れていいのかどうか迷ってしまうと思います。

今回は、クラウドワークス利用時の源泉徴収についてまとめます。

 

 

 

源泉徴収とは?

会社やお店などで働いたことのある方ならピンとくるかもしれませんが、

この源泉徴収というのは、給料から予め引いておく所得税のことです。

 

源泉徴収されなかった所得は、特別な理由がなければ確定申告をして納税しなければなりません。

 

簡単にまとめるならば、

”クライアントに源泉徴収をしてもらう”

というチェック欄は、

そもそも所得税を確定申告しなければならない個人が、

クライアントに対して源泉徴収を要請出来るシステムと言えるのです。

 

そもそも、確定申告をする必要のある人とは?

源泉徴収を利用した方がいいのは、確定申告をする必要のある人です。

しかしながら、クラウドワークスを利用する方々は職業も立場も様々なため、1パターンに納めて説明するのが難しいですね。

以下では、クラウドワークスを利用していそうな人について場合分けしてまとめていきます。

 

フリーランス・自営業としての利用している場合

クラウドワークスで大きく稼いでいる方々の大半は、フリーランサー及び自営業者なのではないでしょうか。このような方々は、自ら確定申告をしなければならない場合が多そうですね。

 

フリーランサーまたは自営業者として、確定申告をする必要のあるのは

年間の所得が38万円以上ある方々です。

 

この38万円は、所得税計算上の基礎控除の額です。

基礎控除というのは、所得税納税者全てが利用できる控除額です。所得税の計算では、収入-経費(出費額)で計算される所得から、この基礎控除を除いた額に所得税率をかけます。

 

クラウドワークスのシステム上の”クライアントに源泉徴収をしてもらう”という欄は、クライアントが法人であるならば、選択できるようになっているようです。

しかしながら、本当に源泉徴収してくれるのかどうかは、問い合わせた方が無難です。

クライアントを信用しきれない&他に確定申告しなければならない所得がある 方は、源泉徴収をクライアントにしてもらわず、ご自身でまとめてやるのも良いかと思われます。

 

自身が控除対象配偶者である場合

控除対象配偶者というワードは、所得税法上のものです。

自分に配偶者が居て、その人物が一家の収入の大部分を稼いでいる場合、特定の条件をみたすなら控除対象配偶者の枠組みに入ります。

分かりやすくいうと、主婦や主夫のことです。

 

確定申告(源泉徴収)をするかどうかは、

配偶者(この記事ではワーカー)の合計所得が48万円以下なら、38万円から13万円(納税者の所得金額によって控除額が変化する)分まで確定申告(源泉徴収)なしで稼げます。

    また、ワーカーの合計所得が48万円超(そして133万円以下)ならば、38万円分~1万円分(納税者の所得金額によって控除額が変化する)を確定申告(源泉徴収)なしで稼ぎ出せるといえます。

 

少し分かり辛いので、例を挙げて説明します。

例1)本人がクラウドワークスで年間10万円稼いで、配偶者(一家の収入の中心)の収入が600万円だとすると、配偶者控除を38万円うけられます。よって、クラウドワークスで稼いだ10万円は他に自分に所得がないならば源泉徴収不要であり、確定申告も不要です。

 

例2)本人がクラウドワークスで年間50万円稼いで、配偶者(一家の収入の中心)の所得が950万円だとすると、配偶者特別控除を26万円うけられます。

クラウドワークスでの報酬が50万円なので、特別控除額を超えている状態ですね。収入をえるための費用がかかっていないのであれば、超過した24万円分の税金を国におさめる必要がでてくるんです。

この場合は、”クライアントに源泉徴収をしてもらう”という選択肢も考慮に入れてみるといいかもしれません。

しかしながら、システム上でのチェックマークは、案件の内容でチェックするように書かれていた時のみにやったほうが無難です(クラウドワークスはかなり様々なクライアントが居るので、あまり複雑に関わらない方が無難です)。

 

副業として利用している場合

副業としてクラウドワークスを利用している方は、私が書いた下記の記事から、自身が確定申告をする必要があるかどうかを確認してください。

 

nuconumber.hatenablog.com

 

会社員でも、自分で確定申告をする必要のある方は、クラウドワークスの機能上で源泉徴収を選択するのも良いかと思われます。

しかしながら、こちらの場合でも源泉徴収してくれるかどうかは、クラウドワークスを通して案件を出してくれている会社しだいなので、案件の詳細に源泉徴収をしてくれるなどの記載のある場合に利用しましょう。

兼業農家の為の確定申告解説

兼業農家の方々にとって、確定申告は悩みの種なのではないでしょうか?

 

年末調整(確定申告の為の手続き)等を会社が行っているのを知っているなら、なおさら混乱しますよね。

 

この記事では、兼業農家の方々が自ら確定申告を行う必要があるのかどうかも含めて、概要的な部分をまとめていきます。

判断の一助になりましたら幸いです。

 

 

 

確定申告が必要になる対象者

兼業農家をされている方々の中で、自分で確定申告が必要となるのは、次の2パターンのうち、どちらかに該当する場合です。

  • 給与収入が2,000万円を超える会社員。

 →企業の人事等で行われる年末調整の対象とはならないので、自らが確定申告を行う必要があります。

  • 給与を一か所(この場合会社)から貰っている他、更に別の所得が年間20万円超ある会社員。

 →別の所得分は自らが確定申告する必要があります。

 

農業の所得の種類

所得税法では、所得の種類が細分化されております。

14種あるうち、農業に関するものは、”事業所得”に分類されます。

 

基本の計算式は

 

所得=総収入金額ー必要経費(±控除額等の調整額)

 

このようになっておりまして、各種控除額を調整した後の金額に所得税率がかけられ、所得税が算出されます。

 

 

確定申告をするための事前手続き

農業は事業所得に該当するので、それを前提として解説していきます。

新らしく、事業所得や不動産所得、山林所得を得るような事業を始めた方々は、確定申告をするために、事前に手続きが必要となります(所得税法第229条)。

 

その手続きは個人事業の開業届出

と言いまして、所轄税務署に提出することになります。

他にも、事業開始等申告書都道府県税事務所や、市区役所にも提出します(各都道府県で異なります)。

 

後述する青色申告を行うのであれば、税務署に青色申告の届出もしましょう。

 

ザックリとした計算法等

前述したとおり、所得の計算は”総収入金額ー必要経費”となります。

農業得た収入(収穫した農作物をJAやネットショップ等で売却して得た金額や補助金奨励金)や、農業で収入を得るために支払った費用を把握しておくことが重要となります。

 

特に経費については所得税の支払いを抑える為にも、より大きな金額を申告したいところですが、農業の場合は計算の難易度が高いです。

 

  • ラクターなどの農作業用の器具や、家畜、または果物用の樹木等は、減価償却という独特の計算が必要になります。減価償却は、購入金額の全てが、購入した年の経費に出来ず、数年に渡って少しずつ経費にするという性質です。

 

  • ラクター等の農作業用の器具をレンタルした場合は、減価償却ではなく、基本的にはレンタル料の全てがその年の経費になります。

 

  • 経費を申告する際は、その出費を裏付けるような書類が必要です。

 

農業従事者の税制上のメリットを紹介

農業年金に掛金を支払うと、その金額の全てが前述した税金計算上で控除されるというメリットがあります。

老後に備え、財産形成をお考えの方は、是非利用し、税金の支払い額をより減らすのがお勧めです。

 

農業年金はJA等で加入出来ますが、下記の様な条件を満たさなければなりません。

 

  • 年間60日以上を農業に従事していること
  • 国民年金の第一号被保険者であること
  • 20才~60才未満であること

 

確定拠出型の年金システム(支払い額が一定で、運用次第で受取額が変動する)で、家族分も含めて社会保険料控除出来ます。運用益も非課税です。

 

また、下記の条件を満たした場合は、国から補助金も受けれますので、チェックしてみてください。

 

  • 60才までの間に保険料の納付期間が20年以上であること
  • 農業による所得が900万円以下であること
  • 認定農業者であり、かつ青色申告者であること

条件を満たす方は、月額2万円の保険料のうち、一万円~4千円の国庫補助金を受け取れます。

 

  ☆認定農業者は、農業経営の改善計画を市町村等に提出し、認められた場合になれます。兼業の場合もなれる可能性がありますが、農業による所得よりも、それ以上の所得が多ければ対象にはなりません)

 

青色申告とは?

農業を行う方にとって、確定申告を青色申告で行うのはメリットがあります。

上で述べたように、国庫補助金を受けられるほか、

青色申告特別控除として65万円の控除を受けられます(ただし、2020年度からは、e-taxでの確定申告、または仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿として保管しなければ、10万円減額されます)。

 

そして、取得価額が30万円未満の固定資産は購入した年の経費と出来るので、減価償却をする必要がありません(青色申告ではないなら、10万円いじょうの固定資産は減価償却が必要)。

このメリットは、税金の支払い額が短期的に見て抑えられるため、その分を預金に回せば、利子を得られるなど、ジワジワと恩恵がある感じです。

 

しかし、この青色申告は、事前に税務署に青色申告の届出をする必要がありますし、確定申告の際には、複式簿記で記帳した計算書類が必要です。

複式簿記は、現在の会計では主流の計算方法ですが、少し勉強しないとやり辛いものです。

そういった煩雑さを解決するために、会計ソフトの導入を考えるのもありだと思います。

 

まとめ

兼業農家の方が確定申告する際に必要となる、手続きや計算をザックリとまとめました。農業の場合、減価償却という独特の計算を必要とするものを多く保有する可能性があり、確定申告が煩雑となる方が多いかもしれません。

このような問題を解決するためには、会計ソフトを利用するのがお勧めです。

特に、弥生会計というソフトでは、固定資産を管理する機能が出来るので、確定申告に必要となる計算書類の作成の手間が軽減されます。

 

 

 

事業用口座 作成のススメ 確定申告時に管理・記帳が楽になります

個人事業主フリーランサーの方々は、普段お金の管理をどのようにしていらっしゃるでしょうか?

 

日常生活でも使用している銀行口座をそのまま、事業等にも使っている場合確定申告の時にややめんどくさい処理が増えるかもしれません。

 

この記事では、確定申告時での口座の利用法と、事業用口座をどの銀行にすべきかについてをまとめていきたいと思います。

 

 

 

 確定申告をする際の経費の裏付けとして、口座のデータが利用出来る。

個人事業主フリーランサーの方々は、所得税を国に納付するため、年に一度確定申告をする必要があります。

この時、収入に対してそのまま所得税率をかけたのでは、納付額上不利になりますので、経費(収入を得るために支払った費用等)も申告するのが普通です。

計算式で表すなら以下のようになります。

 

収入ー必要経費=課税所得

 

この課税所得の金額に対して所得税率を掛けて、各種控除額を差し引くことで、所得税の納付額が決まるわけなのです。

 

上の計算式から分かる通り、必要経費をなるべく多くすることで、納付する所得税の金額を少なく出来ます。

税法で認められる範囲内で最大限の必要経費を申告したいところですね。

 

そこで、一つ大事な考え方をお伝えしたいのですが、経費として申告が可能なのは、それを出費した事実が書類で確認出来るモノに限られるという点です。

 

いくら本当に支払いがあったとしても、それを裏付けるデータ等がなければ、税務調査をする方々を納得させれません。

確定申告に利用するためにも、経費に関連する領収書等は残しておきましょう。

 

確定申告時に証明力のある書類はどのようなものがあるのか?

基本的には、領収書での証明になります。

しかし、通帳に記載できるのであれば、それにも証明力があるとされています(つまり経費として計上しても良いという事です!)。

その二つが入手できないのであれば、出金伝票を使うことも認められております(Amazonなどで入手可能)。

 

経費とするために、多くの書類を保存しておく必要があるのですが、管理を楽にするには、事業用の口座を通して出来るだけ出金するのが良いです。

税務調査が行われることになれば、その口座からデータを記帳し、用意しておけば良いので、書類の保管料が一気に減ります。

 

事業用の口座を持っておくと、確定申告書作成時に楽出来ます

青色申告、白色申告、どちらにしても、申告用の計算書類を作成する必要があります。

計算書類を自分で一から作成しようとすると、本業の方がおろそかになるわけなのですが、最近では作成補助に使えるサービスが充実してきています。

 

安価で利用できるクラウド型の会計ソフトは、口座のデータとの連携を行い、自動で計算書類を作成してくれます。

 

こうした会計ソフトを利用することを前提とするならば、事業用の口座をあらかじめ作成しておくことで、その自動処理がスムーズにいくようになります。

計算書類の作成には仕訳という、会計の独特の手法を使われるのですが、自力でやる場合は、覚えなければならない専門用語が多いです。

 

ですので自動記帳に任せてしまうとかなり楽になりますよ。

 

事業用の口座を作成する際に気を付けたい事

会計ソフトを利用する前提で説明させていただくと、事業用の口座は大手の銀行や、地銀などを利用するのがお勧めです。

銀行口座と自動記帳システムとの連携を行える会計ソフトの場合、だいたい三菱UFJ銀行やゆうちょ銀行、楽天銀行などと提携しています。

この中から、出来る限り手数料や利用料が安い物を選びましょう。

事業用利用の場合、取引が多ければ多いほど手数料が大きくなるため、元々の手数料が低い方が有利になります。