個人年金は所得税法上優遇されている。金融サービスを利用するとノーリスクで得する理由
現在、現役世代として活躍している方々は、恐らく老後の資金に不安を感じているのではないでしょうか。
というのも、ニュースや情報サイト等で漠然と公的年金の件――年金の支払いは近い将来、75歳以上になる可能性があるという情報があるからです。
今は多くの企業で60歳を定年としており、働く意欲があれば65歳を定年としています。
そして更に、今年2020年3月「高年齢者雇用安定法」が更に改正され、70歳まで働く機会を与えるという内容になりました。
このたび重なる改正はまさに、年金の受け取り年齢を引き上げるための布石のようにも思えますね。
しかしながら現役世代とっては、65歳~70歳まで、もしくは60歳~65歳まででさえも、身体的な面で働けるのかどうか不安だと思います。
多くの人は何歳で辞めても大丈夫なように、ある程度の蓄えをしておこうと考えるのではないでしょうか。
今回は、60歳で退職し、75歳で公的年金を受注までの財産的な備えという観点からまとめていきたいと思います。
夫婦二人で60歳から80歳まで生活するには最低でも5,000万円必要なようですので、
しっかりと財産を確保しておきたいですね。
金融サービスの中には、税制上優遇されているモノがあるため、出来るだけ利用することで、税額が安くなり(所得税額控除)、老後資金を増やせます。
所得控除とは?
私達は様々な形で税金を納めています。
中でも所得税に関しては、下の表のとおり、所得が増えるごとに税率が増えるため、人によっては下の表のように、最大45%にまで上がります。
しかし、所得(=収入)にそのまま税率が掛けられ、税金が算定されるわけではありません。
様々な控除額が差し引かれた後の金額に、税率が掛けられ、納税額(=国に納める税金)が決まっています。
◇個人事業主の場合
1年間の総収入金額ー1年間の必要経費=事業所得の金額
(事業所得の金額ー各種所得控除額)×税率=納税額
◇会社員の場合
一年間の総収入金額(源泉徴収される前の金額) - 給与所得控除額 = 給与所得の金額
(給与所得の金額ー各種所得控除額)×税率=納税額
※会社員の場合は、確定申告すると、所得控除額分が還付されます(税金を一度納めても、後で控除額分だけ戻ってくる)
ですので、税率の高い人程、控除額を大きくすることによるメリットがあると言えるんです。
個人年金に関係のある所得控除
所得控除の種類は14ありますが、このまとめでは個人年金に関係のある2種類だけ紹介します。
- 小規模企業共済等掛金控除
- 個人年金保険料控除(生命保険料控除の中の一種)
どちらも上限額が決まっておりますが、両方、または片方利用することで所得控除の恩恵をかなり受けれます。
以下でそれぞれを掘り下げて解説してみたいと思います。
小規模企業共済等掛金控除
法律上の名称から、個人年金には関係なさそうに思われますが、そんなことはありません。
確定拠出年金のうち、企業型年金と個人型年金の掛け金に対して適用可能な所得控除なんです。
確定拠出年金とは?
金融機関等が提供するサービスになります。
大きく分けると、掛金(運用の為に支払う金額)を事業主(会社など)が拠出する企業型年金と、自分で掛金を支払う個人型年金(iDeCo)の二つです。
金融機関はこれらの掛金を長期間運用しまして、
加入した方は、60歳以上で解約が可能となり、自分の意思で自由に使用出来る財産となります。
掛金の全額が所得控除の対象になりますので、非常に節税効果が高いサービスと言えます。
所得控除額の上限(掛金の上限と同じ)につきましては
- 企業型年金→確定給付型の年金を実施していない場合が月額55,000円。確定給付型の年金を実施している場合が月額27,000円。個人型年金に同時加入を認める場合はそれぞれ減額されます。
- 個人型年金→自営業者等が月額68,000円。公務員が月額12,000円。専業主婦(夫)が月額23,000円。企業型確定拠出年金との併用等はまた金額が変わってきます。(厚生労働省HPから)
それぞれの立場で最も控除額が大きくなる組み合わせを、各金融機関に問い合わせてみるのがお勧めです。
個人年金保険料控除
保険会社の商品である、個人年金保険に保険料を支払うと、所得税と住民税が軽減されます。
この個人年金保険は、基本的には確定拠出年金と似た性質を持っています。
運用する会社が、こちらが保険会社なのに対し、確定拠出年金は証券会社なのと、所得控除の種類が異なるというのが主な相違点といえるかもしれません。
一般的な内容としましては、65歳まで積み立てた保険料を、65歳から75歳までの10年間でバックしてもらうスケジュールになっているものが多いです。
所得控除の上限につきましては、
平成24年1月1日以降に締結した契約では、所得税分が年間4万円、住民税分が年間2万8千円になります。
これに各人に適用される所得税率と、各都道府県の住民税率を掛けた金額が納税額から控除されます(または還付を受ける)。
確定拠出年金に比べると少ない金額に思われるかもしれませんが、確定拠出年金の控除額には上限があるため、なるべく多くの税制上のメリットを受けたい方は、こちらも検討してみるといいかもしれません。
どちらにしても、それぞれの置かれた立場でどのようなサービスを受けるべきか(両方の場合は、その金額バランス等)はファイナンシャルプランナー等のプロに相談してみるのがお勧めです。